茶道体験での外国人向けチームビルディング研修とは


外国人向け日本文化体験の中でも常に人気の茶道。和文化エクスペリエンスでご活躍されている茶道家の先生方の元へ訪れ、外国人スタッフ向けの研修やチームビルディングとして茶道を体験する意義や、普段どのようなことを考えて体験を提供しているのかお話を伺ってきました。

講師のご紹介・プロフィール


写真左:F先生 右:K先生

F先生
裏千家教授。大学外国語学科卒業後、大手小売会社に就職。もてなしについて深く身につけたいと考え、茶道稽古を始める。茶道の洗練された所作、考え方(ムリ、ムダ、ムラを省くシンプルな生き方)に影響を受け、裏千家学園茶道専門学校茶道科へ入学。卒業後、京都にて修行の後、茶道教室を主宰。

K先生
裏千家教授。国際茶道文化協会会員。幼少時代を海外で過ごし、日本文化の素晴らしさと茶道を通じたおもてなしに感銘を受ける。大学英文学科卒業後、米系証券会社に勤務し、その間、内閣府青年国際交流事業に参加。一椀により世界の人と友人になれる茶道にさらに目覚める。以後数十カ国のお客様に呈茶をしている。数々の大手企業、大学の留学生プログラム、著名カンファレンスにて呈茶。



お二方は国内での稽古、弟子の育成だけでなく、これまでに約700名以上・40カ国の訪日客に対して茶道を紹介し、日本のもてなしの文化や和敬清寂の精神を英語でも伝えてきました。また、楽天、サントリー、BEE-NEXTなどの大手企業の外国人スタッフ向けやMBA留学生のプログラム向けにも、茶道を通じて日本の文化と精神を伝えるべく、講義を行なってきました。

企業研修やチームビルディングとして行う茶道の意義



では、なぜ多くの企業や団体が、外国人スタッフ向けの研修やチームビルディングに茶道体験を取り入れるのでしょうか。
1つ目の理由は、茶道の祖である千利休が定めた茶道の心得である「和敬清寂」の精神が、日本社会やビジネスで当たり前とされている慣習やマナーに深く関わっているからです。

茶道を体験することによって、外国人参加者は、普段馴染みの無い日本文化を五感で感じて、もてなしの精神や相手への配慮、気遣いを大切にする日本の文化に触れることができます。
お茶室という特別な空間で、直に茶道の点前を目にして、お茶をいただき、自身でお茶を点てるといった体験は心に深く刻まれる思い出となるでしょう。

「和敬清寂」における「和」とは、お互いに心を開くことです。「敬」とは、尊敬の敬で、お互いに敬いあうという意味です。「清」とは、清らかという意味ですが、目に見えるだけの清らかさではなく、心の中も清らかであるということです。「寂」とは、どんなときにも動じない心です。

裏千家HPより

2つ目に、茶道には「習い手は皆平等」という考え方があります。日常の中では様々な立場の地位や身分が存在しますが、茶室で先生からお点前をいただくときは皆平等です。普段オフィスで過ごす際には役職や部署の違いがあり、誰かと接する際もそれを気にしなければなりません。しかし共に茶道を体験するとき、そこに役職や立場の違いは存在しません。
様々なバックグラウンドを持ち、国際色豊かな社員たちが同じ空間で立場を気にせずに体験することができる、「習い手は皆平等」という考え方は、参加者同士がフラットな関係性でコミュニケーションをとれる貴重な機会となります。

研修・チームビルディングの茶道体験の流れ

では実際に、どのような内容で研修・チームビルディング向けの体験が行われるのでしょうか。



まず、茶道の基本や歴史の説明からはじまり、国際化が進む現代社会と裏千家流茶道とのつながりについてお話があります。一流の茶道家から由緒ある伝統や歴史、今現在の日本文化を反映した取り組みについて、通訳を介さずに英語で伺うことができます。

その後、先生のお点前を拝見します。一方の先生がお点前をして、もう一方の先生がその作法を英語で説明します。何をしているかだけではなく、その作法がなぜ重要でどのような意味があるか丁寧に説明があります。例えば、「道具を清める」という所作は茶具のみを清めているのではなく、心を清めることなど、その作法に込められている意味を一つ一つ丁寧に講師の言葉で伝えられます。

お茶をいただいた後は、参加者自身でもお点前を実践していただきます。ここでは外国人参加者が2人1組になってお互いにお茶を点て合います。初めて点てるお茶は難しいのですが、ここで重要なのは相手を想いお茶を点てること。おもてなしの心や、和敬清寂の心を外国人参加者に実際に体験していただきます。


体験当初は少し緊張感が漂っていたお茶室も、体験が終わる頃には和やかな雰囲気になり、参加者同士の距離も縮まっている様子でした。他にも、懐石を通して食事の場における日本流のマナーを伝えることもあります。そこでは、箸の持ち方のように基本的なことから、食事のペースを目上の人(正客)に合わせるといった日本特有の振る舞い方についても紹介されます。

文化体験を通して外国人に何を学んで欲しいか、感じてほしいかというのは各団体・企業によって異なります。そのため、先生方は事前の打ち合わせ・ヒアリングの時間を大切にしています。担当者様との話し合いを通して「日本文化の何を伝えるか」、「体験後にどのような効果を期待するか」を明確にして、それらを茶道体験の流れに落とし込み、より的確にわかりやすく伝えることを意識しています。お茶はもちろんお菓子、場合によっては懐石料理など、実践を交えた体験も可能なため、事前の打ち合わせでは参加者のアレルギーや、宗教による食の違いなどついて共有できることが望ましいです。。

おわりに



茶道は数ある日本の文化体験のなかでも、特に日本文化の伝統やマナーの由来を知るのに適した体験です。過去に数多くの外国人に茶道体験を提供してきた先生方ならではの工夫や、外国人参加者への配慮や配慮、茶道の持つ和敬清寂、おもてなしの精神全てが、研修やチームビルディングにおいて人気や効果、高い満足度を生み出していることがわかりました。

和文化エクスペリエンスでは、東京や京都の由緒ある寺院・庭園にて、英語で一流の講師から日本の伝統文化を受講できる特別プログラムを提供しております。

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